谷村思亜のさくらうた

桜の歌が毎年たくさんできます。  #短歌  #桜  #谷村思亜

2008年のさくらうた

枝に花 咲き初めし頃の 空の青


桜咲き 光の国の 生まれいづ


喜びの時 風景に桜あり


花散らし 桜に遊ぶ スズメかな


幾千の花 風に千々に揺れ 光も陰も愛の現し身


一生に 一度あるかなきごとの幸よ 桜の開けるさまは


なつかしき 空の青さと 桜かな


愛らしき 花のささやき降り注ぐ 悲しきこの世にこの春もまた


美しき 美しき次元現れる 永久と今とを引き替えてもいい


夢の色 夢の匂いのその花は 季節のはざ間の一刻に咲く


薄紅の花よ頭上に永久にあれ 旧きやさしき魔法の名残り


薄紅の 善意を差し出す 桜かな

 

道々に 立ち現れる 桜花


雪山を 背後に薄紅 桜花


喜びに 胸が苦しくならないか 今桜花世に咲き誇る


限りなく やさしき花のその色は さくらさくら薄紅の花


薄紅は 願い続けた場所の鍵 桜と共に散って消えたし


薄紅の 雪崩に埋もれてしまいたい 我が魂を桜よ奪え


一年の 全ての幸が込められて 今桜木は咲きて満ちたり


花雨や 不安に克って 咲ける花


春連れて来て置いてゆく桜かな


花天井 天国はきっと こんな色


薄紅に 薄紅の陰重なりぬ 花のささやき渡りてゆかぬ


花雨や ジャングルジムに 遊ぶ鳥

 

花の雪 白き命を くぐり抜く


花の雪 雨と鳥とに 散らされて


園庭の 土白く染め 花の雪


鳥の声 花の深くに 響きけり


名残り花 ただやさしさの 降りつのる


一面に 薄紅の雪降りしきる この世の終わりであったならいい


ゆっくりと さよならを言う 桜かな


四月八日 やさしい季節 散ってゆく


その色で 花塞いでよ この世界


並木道 花冠の 残る頃


名残り花 涙のごとく 二つ三つ

 

花終わり 地面に白き 花宇宙


やわらかき 色を残して 花の終


花にがく 落として花の 終わりかな


葉桜の 前の緑の やわらかし


花終えて 緑と赤の 天地かな