枝に花 咲き初めし頃の 空の青
桜咲き 光の国の 生まれいづ
喜びの時 風景に桜あり
花散らし 桜に遊ぶ スズメかな
幾千の花 風に千々に揺れ 光も陰も愛の現し身
一生に 一度あるかなきごとの幸よ 桜の開けるさまは
なつかしき 空の青さと 桜かな
愛らしき 花のささやき降り注ぐ 悲しきこの世にこの春もまた
美しき 美しき次元現れる 永久と今とを引き替えてもいい
夢の色 夢の匂いのその花は 季節のはざ間の一刻に咲く
薄紅の花よ頭上に永久にあれ 旧きやさしき魔法の名残り
薄紅の 善意を差し出す 桜かな
道々に 立ち現れる 桜花
雪山を 背後に薄紅 桜花
喜びに 胸が苦しくならないか 今桜花世に咲き誇る
限りなく やさしき花のその色は さくらさくら薄紅の花
薄紅は 願い続けた場所の鍵 桜と共に散って消えたし
薄紅の 雪崩に埋もれてしまいたい 我が魂を桜よ奪え
一年の 全ての幸が込められて 今桜木は咲きて満ちたり
花雨や 不安に克って 咲ける花
春連れて来て置いてゆく桜かな
花天井 天国はきっと こんな色
薄紅に 薄紅の陰重なりぬ 花のささやき渡りてゆかぬ
花雨や ジャングルジムに 遊ぶ鳥
花の雪 白き命を くぐり抜く
花の雪 雨と鳥とに 散らされて
園庭の 土白く染め 花の雪
鳥の声 花の深くに 響きけり
名残り花 ただやさしさの 降りつのる
一面に 薄紅の雪降りしきる この世の終わりであったならいい
ゆっくりと さよならを言う 桜かな
四月八日 やさしい季節 散ってゆく
その色で 花塞いでよ この世界
並木道 花冠の 残る頃
名残り花 涙のごとく 二つ三つ
花終わり 地面に白き 花宇宙
やわらかき 色を残して 花の終
花にがく 落として花の 終わりかな
葉桜の 前の緑の やわらかし
花終えて 緑と赤の 天地かな