青空に亡くなりし者を祈るごと花の命の咲き初めにける
長き長き冬の終わりて咲く花の色ぞ切なきほどのやさしさ
薄紅の花の作りし宇宙とはまぶしく輝く命の光
紅色の桜の森のつぼみかな
世の中に桜の花のなかりせば 春の歓び九割はなし
淡やかにこぼし落とせるやさしさはその花の色桜咲きける
天空に近き枝より咲き初めて祈るがごとくこの春の花
花の門 花の開くを待ちにけり
パレードのごと花森は立ち並び四月の国を現しにける
桜木は天に諸手を差し伸べて全霊の花を捧げている
何も知らず生まるるはずの薄紅の花は全てを慰むごとし
慈しみ慰めるごとのその色はさくらさくら春の化身
やさしさを惜しむ事なく色づけて花は咲きけり幻のごと
現るる桜の花のその色は惜しむ事なき慈愛そのもの
桜咲きゆたかな幸がここにある 春という名の一瞬の間に
やさしさも幸もはかなきものらしく花は咲きけるつかの間の春
深々と花の宇宙は限りなく一瞬の間に展かるる永久
雪の美に愛を込めたる薄紅に桜は咲けり春の間に間に
自らの命の限り知るごとく花は咲くらん全霊の愛
限りなき無数の花の一つ一つ限りなき愛を込めて咲くらん
薄紅の愛情が降り止まぬなり桜の花よ春の刻よ
なんというあふるるほどの愛情を花は降らせるこの春もまた
今だけのやさしい奇跡展がりぬ さくらさくら忘れじの色
汝に会うためだけに我生きていた さくらさくら愛しの花
苦しみの悲しみの果てに咲く花はこの世ならぬ美天上の花
雪紅に白銀の色に花は咲き 全霊の愛に微笑んでいる
愛すれどどれほどまでに愛すれどそれより以上に花は麗し
雪紅のこの上もなきやさしさよ 花の思いを人は知らない
地獄にも釜の開く日があるようにこの世に桜開ける日もあり
花愛す人ほど悲しきこの世かな
花の雲 雪紅の色にふくふくと幻の国に世を変えにけり
年々に花と交する約束は我を連れゆけ永久のその色
永久にあれ思うものほどはかなくてやさしき刻よ花ぞ咲くらん
花もまた祈っているのかやさしさと愛とぞあれと心の限り
花の邦ありえぬほどのやさしさの永久なる愛を花は降らせり
人の世の悲しみを全て引き受けて美と愛に変え花は咲くらん
花の愛 世に行き渡るを見届けて花は散るなり微笑みながら
祝福と慰めのごと花は咲き無二なるやさしき色を展げり
渾身の愛にやさしき花は咲き悲しき人に微笑んでいる
やさしさと清らかさ極む花の色 青空に無二の刻を展げる
金剛に煌きながら花の散る 夢はこうして消えてゆくなり
消え入るを願うは淡き花の国
つらすぎる季節のあとに咲く花のやさしき色は天意なりけり
夢たるはかくもやさしき色なのか 桜の花はそを教えけり
一年の新たな悲しみ慰むるために桜は春ごとに咲く
ゆっくりとやさしく花は散りにけり人の悲しみ慰撫するごとく
やさしさを残して花の終わりかな
ひらひらと天より名残り花の降る 消えゆきながらただやさしかる
御神の微笑み給う日もありぬ ゆっくりと花の消えてゆきし日
ねえぼくと花の逝くのを見ないかい とても愛しき世界の終わり
淡やかに名残りの花の消えてゆく こんなにやさしい世界があろうか
風香る春は気づかぬうちに過ぐ 花のささやき残れる頃
花終わりやさしい魔法名残りけり
花あとの桜の色もやさしかる 地の花びらは遠い約束