谷村思亜のさくらうた

桜の歌が毎年たくさんできます。  #短歌  #桜  #谷村思亜

2011年のさくらうた

青空に亡くなりし者を祈るごと花の命の咲き初めにける


長き長き冬の終わりて咲く花の色ぞ切なきほどのやさしさ


薄紅の花の作りし宇宙とはまぶしく輝く命の光


紅色の桜の森のつぼみかな


世の中に桜の花のなかりせば 春の歓び九割はなし


淡やかにこぼし落とせるやさしさはその花の色桜咲きける


天空に近き枝より咲き初めて祈るがごとくこの春の花


花の門 花の開くを待ちにけり


パレードのごと花森は立ち並び四月の国を現しにける


桜木は天に諸手を差し伸べて全霊の花を捧げている


何も知らず生まるるはずの薄紅の花は全てを慰むごとし


慈しみ慰めるごとのその色はさくらさくら春の化身

 

やさしさを惜しむ事なく色づけて花は咲きけり幻のごと


現るる桜の花のその色は惜しむ事なき慈愛そのもの


桜咲きゆたかな幸がここにある 春という名の一瞬の間に


やさしさも幸もはかなきものらしく花は咲きけるつかの間の春


深々と花の宇宙は限りなく一瞬の間に展かるる永久


雪の美に愛を込めたる薄紅に桜は咲けり春の間に間に


自らの命の限り知るごとく花は咲くらん全霊の愛


限りなき無数の花の一つ一つ限りなき愛を込めて咲くらん


薄紅の愛情が降り止まぬなり桜の花よ春の刻よ


なんというあふるるほどの愛情を花は降らせるこの春もまた

 

今だけのやさしい奇跡展がりぬ さくらさくら忘れじの色


汝に会うためだけに我生きていた さくらさくら愛しの花


苦しみの悲しみの果てに咲く花はこの世ならぬ美天上の花


雪紅に白銀の色に花は咲き 全霊の愛に微笑んでいる


愛すれどどれほどまでに愛すれどそれより以上に花は麗し


雪紅のこの上もなきやさしさよ 花の思いを人は知らない


地獄にも釜の開く日があるようにこの世に桜開ける日もあり


花愛す人ほど悲しきこの世かな


花の雲 雪紅の色にふくふくと幻の国に世を変えにけり


年々に花と交する約束は我を連れゆけ永久のその色


永久にあれ思うものほどはかなくてやさしき刻よ花ぞ咲くらん

 

花もまた祈っているのかやさしさと愛とぞあれと心の限り


花の邦ありえぬほどのやさしさの永久なる愛を花は降らせり


人の世の悲しみを全て引き受けて美と愛に変え花は咲くらん


花の愛 世に行き渡るを見届けて花は散るなり微笑みながら


祝福と慰めのごと花は咲き無二なるやさしき色を展げり


渾身の愛にやさしき花は咲き悲しき人に微笑んでいる


やさしさと清らかさ極む花の色 青空に無二の刻を展げる


金剛に煌きながら花の散る 夢はこうして消えてゆくなり


消え入るを願うは淡き花の国


つらすぎる季節のあとに咲く花のやさしき色は天意なりけり


夢たるはかくもやさしき色なのか 桜の花はそを教えけり

 

一年の新たな悲しみ慰むるために桜は春ごとに咲く


ゆっくりとやさしく花は散りにけり人の悲しみ慰撫するごとく


やさしさを残して花の終わりかな


ひらひらと天より名残り花の降る 消えゆきながらただやさしかる


御神の微笑み給う日もありぬ ゆっくりと花の消えてゆきし日


ねえぼくと花の逝くのを見ないかい とても愛しき世界の終わり


淡やかに名残りの花の消えてゆく こんなにやさしい世界があろうか


風香る春は気づかぬうちに過ぐ 花のささやき残れる頃


花終わりやさしい魔法名残りけり


花あとの桜の色もやさしかる 地の花びらは遠い約束