花の色 花の心のやさしかる 世に善あるを信じて咲けり
花の色 この春も世に現れて 花の心を表しにける
咲き初めて花の心の世々にまた現れ出ずる今日となるなり
水色の花を呼びける御空かな
花てふは神の降らしむ慈愛なり
一瞬の間に間に花の咲き匂う 一年の間の秘密の時間
目覚めたる桜木の思いふくふくと予感の満つる並木道かな
咲き初めし花の心の二つ三つ 世に光なる春を報せり
紅色の花のつぼみを携えて もうじき花は咲き満つるなり
指先の光れる聖者の手のごとく 桜の花は咲き初めにけり
花よ花 汝の心の大きさよ 最も遥けき色の薄紅
花の色 やさしき色の世にありて やさしき人の心安かれ
何故に その色に咲く桜花 人世に最もありがたき色
花の色 無限無数の花びらよ 汝の心満ちよ満ちよと
花の雨 やさしきものの散りてゆく この世の無惨この世の無常
ゆっくりとやさしき花は消えてゆく この世ではないどこか遠くへ
さくらさくら 名残りの色もやさしかる 最もやさし意思を持つ花
恋うほどに桜の花は与ふなり 無尽の愛を花の心を
花の雨 花降る今が永久ならば 消ゆる事こそうれしかりけり
花よ花 やさしき色を恋う者に 降らせ降らせよ幻の色
人の世の悲しきほどに桜花 汝を慕う者に尊し
花よ花 奇跡の色の薄紅よ 世の悲しみが深きがほどに
人世から最も遠し桜花 雪の中にもただ白く在り
花の色 雪の向こうにまだありて 別れの言葉叫ぶがごとし
花の終 花の国へと霞みけり
花の終 名残れ名残れよ淡き紅
白き国 名残りの花は展げけり 愛と善とを忘るなかれと
花よ花 悲しき人を慰めし大きな愛を伝えんと咲く
花よ花 地上は未だ赦されて 汝の色をあと何度見す
花の終 花はまばらに名残りつつ 無二のやさしき気配静けし
名残り花 鳥の寄り来る梢かな
淡あわと花の魔法が解けてゆく 世にありえなき色は還りぬ
夕焼けの色の輝き 名残り花
花心 上下左右に花の終
己の死よりも悲しき花の終
花の終 花を数えていたい夜
どれほどの苦難を越えてその色か 花は至善の姿示せり
花の道 つかの間の夢終わりけり 花散る梢に鳥は集いぬ
花よ花 我を汝は知りにけり 他の全てに殺されながら
花よ花 最後の花を落としけり 汝の国にいかに行くらむ
花よ花 忘れ形見の花びらの舞い落つ中にモンシロチョウ飛ぶ