谷村思亜のさくらうた

桜の歌が毎年たくさんできます。  #短歌  #桜  #谷村思亜

2015年のさくらうた

花の色 花の心のやさしかる 世に善あるを信じて咲けり

花の色 この春も世に現れて 花の心を表しにける

咲き初めて花の心の世々にまた現れ出ずる今日となるなり

水色の花を呼びける御空かな

花てふは神の降らしむ慈愛なり

一瞬の間に間に花の咲き匂う 一年の間の秘密の時間

目覚めたる桜木の思いふくふくと予感の満つる並木道かな

咲き初めし花の心の二つ三つ 世に光なる春を報せり

紅色の花のつぼみを携えて もうじき花は咲き満つるなり

指先の光れる聖者の手のごとく 桜の花は咲き初めにけり

花よ花 汝の心の大きさよ 最も遥けき色の薄紅

花の色 やさしき色の世にありて やさしき人の心安かれ

何故に その色に咲く桜花 人世に最もありがたき色

花の色 無限無数の花びらよ 汝の心満ちよ満ちよと

花の雨 やさしきものの散りてゆく この世の無惨この世の無常

ゆっくりとやさしき花は消えてゆく この世ではないどこか遠くへ

さくらさくら 名残りの色もやさしかる 最もやさし意思を持つ花

恋うほどに桜の花は与ふなり 無尽の愛を花の心を

 

花の雨 花降る今が永久ならば 消ゆる事こそうれしかりけり

花よ花 やさしき色を恋う者に 降らせ降らせよ幻の色

人の世の悲しきほどに桜花 汝を慕う者に尊し

花よ花 奇跡の色の薄紅よ 世の悲しみが深きがほどに

人世から最も遠し桜花 雪の中にもただ白く在り

花の色 雪の向こうにまだありて 別れの言葉叫ぶがごとし

花の終 花の国へと霞みけり

花の終 名残れ名残れよ淡き紅

白き国 名残りの花は展げけり 愛と善とを忘るなかれと

花よ花 悲しき人を慰めし大きな愛を伝えんと咲く

花よ花 地上は未だ赦されて 汝の色をあと何度見す

花の終 花はまばらに名残りつつ 無二のやさしき気配静けし

名残り花 鳥の寄り来る梢かな

淡あわと花の魔法が解けてゆく 世にありえなき色は還りぬ

夕焼けの色の輝き 名残り花

花心 上下左右に花の終

 

己の死よりも悲しき花の終

花の終 花を数えていたい夜

どれほどの苦難を越えてその色か 花は至善の姿示せり

花の道 つかの間の夢終わりけり 花散る梢に鳥は集いぬ

花よ花 我を汝は知りにけり 他の全てに殺されながら

花よ花 最後の花を落としけり 汝の国にいかに行くらむ

花よ花 忘れ形見の花びらの舞い落つ中にモンシロチョウ飛ぶ